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HUMARIZINE No.05 出版

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HUMARIZINE No.05 出版

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2024年に出版されたNo.05は、出版というテーマを取り上げている。studio TRUEはこの一年でリソグラフを導入したり、出版にまつわる授業をやることになったりと、偶然にも出版に関わる複数の機会に恵まれた。それらのことを踏まえ6冊目にあたる今号で「出版」について改めて考えを掘り下げる必要があるのではないかと考えた。京大でアーレント研究をし、単著を出版した哲学研究者の林大地、本にまつわるあれこれをしている3人組、アラマホシ書房と一緒に、出版について多角的に向き合うことができた。

編集+執筆

studio TRUE(松岡大雅+れいぽん)

林大地

アラマホシ書房(えじり+こたぎり+ナカムラソラ)

エディトリアルデザイン

松岡大雅

表紙デザイン+インクづくり

れいぽん

はじめに

れいぽん

2019年にHUMARIZINEを始めてから、早5年。今号HUMARIZINE No.05は6冊目の出版物にあたる。私たちは社会をサバイブするための共同体をつくることを目的として、出版というプロセスの中で仲間と共に制作をすることを前提に活動を続けてきた。そして自らの制作活動を毎年アーカイブして積み重ねていくこと、共同体自体のあり方を考えていくことをやってきた。
昨年HUMARIZINEでこれまで長く関わってきたとある参加者がもう一人の参加者と不誠実な関係性に陥り、HUMARIZINEという共同体が巻き込まれた結果、大きな損害を被った。これまで続けてきた関係性が崩れ、HUMARIZINE自体も考え直さざるを得なくなり、ショックを受けた。しかし、共同体はそういったリスクも孕むものであり、そのようなことですらもアーカイブすることで、HUMARIZINEがどうあるべきかを客観的に見ることができる。それこそが出版をやる意味かもしれないと思った。
他にも大変なことは多々あったが、出版を続けていくことは自らも制作も前進させる大きい役割を担ってくれている。出版をすることで人と出会い、ネットワークも広がっている。
そもそも、HUMARIZINEという出版をやることになったきっかけは私が大学一年生の頃に本づくりをした経験にある。大学プロジェクトの広報兼アーカイブとして出版した本だったが、制作のプロセスを通してさらにプロジェクトの全容を深ぼることができると気づいた。人と話し、つながり、失敗したことも含め、テキストをまとめる上で考える。そのプロセスをやることが活動においては重要なのだと感じた。

このように私のいう「出版」はそのプロセスであり、活動をアーカイブすること、本という形にその時点までの出来事をピン留めすることである。しかし、出版の側面はそれだけではない。出版もただアーカイブするだけでなくそこには編集、校正、校閲などの作業も入ってくる。もちろんエディトリアルデザインや、装丁も本の内容とは別に大きな役割である。また、本は売らなければ持続的に出版できないため、その販路や営業などは重要である。そもそも本をつくるために印刷することを版権=権利化だという人もいるし、自費出版でZINEをつくることも、もはやムーブメントのようになっている。出版の社会的な意味合いは多様である。
このような出版に対しての考えを巡らせるために今回は「本」や「出版」にさまざまな側面から関わっている方々に参加してもらった。彼らとの制作を通じて「本」や「出版」に対して広がりを持った本づくりが展開できることを期待する。

そして、HUMARIZINEをはじめ、5年経った今年、SFCで出版に関する授業を受け持つことになった。その授業でもプロジェクトアーカイブのための本づくりを行う。活動をアーカイブすること、本にすることがどのような意味を持つのかを考えていく予定だ。同時に、今号で考えたこと、議論したことを反映し、出版の多様な側面を見せることができたらと思う。今後、出版に関わる学生が増えるか否や、それもアーカイブしたい。


ヒューマライジンの出版活動を振り返る

studio TRUE

これまで 5 年をかけて出版してきた 5 冊の自費出版誌「HUMARIZINE」と、1 年取り組んできた印刷産業のリサーチ「月刊ヒューマライジン」を振り返ることを通じて、「出版」を考える。
松岡による過去の「HUMARIZINE」参加者によるヒアリングと、れいぽんによる「月刊ヒューマライジン」の考察をまとめている。


ルネの山下さんインタビュー

林大地

京都大学生協書籍部「ルネ」の書店員・山下さんへの計 3 回のインタビューを通じて「出版」にまつわる課題を考える。「出版社 – 取次 – 書店」の三層構造が抱える問題とは何なのか。


出版日記

アラマホシ書房

何者でもない 3 人が、出版についての日記を、出版するまでの日記です。
本誌の制作過程を知るための副音声としてもお楽しみいただけます。


鼎談:出版という希望

studioTRUE × 林大地 ×アラマホシ書房

「HUMARIZINE No.05 出版」に参加した3組、計 6 人による鼎談。それぞれの小冊子について相互に議論し、「出版」とはなんだったのか話し合う。


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